ねこ、旅に出る

普通ってなぁに?

旅のはじまり。

先生からの電話は意外な内容だった。


彼女とは婚約をしていて

両家に挨拶をし終わっているらしい。


彼女は自分が辛い時に支えてくれて

救われたみたい。


こんなわたしに寄り道している場合ではないでしょ。


もう終わりにしよ。


先生はずっと


わたしを苦しめたくない。

わたしに辛い思いをさせたくない。


じゃぁ自分は?

自分の気持ちで動いてほしいよ。

わたしの気持ちはわたしでどうにかするよ。


このまま進んだら、後戻りできない。


こうして


どうやら今日からわたしは


レズビアンに戻れず

ノンケにもなれない旅が始まった…

修羅場継続。

先生の彼女「は??あんた、何言ってんの?私と別れるの?じゃぁどうして…どうして…」


先生の彼女はその場で泣き崩れた


…わたしはレズビアン。


女の子の味方。


いつだってそうだった。


…でも先生が好き。


先生がわたしに振り向いて


「ごめんね。二人で話するね。終わったら、電話するね。」


と、言った。


先生は

泣いてる彼女を支えた。


わたしと目が合った


先生は

情けなく、笑って


ごめん


って口パクした。


わたしはなんて言っていいのかわからなかった。


奪略したいわけじゃない。


ただただ、先生のことが好きなの…


わたしは後ろに向かって歩いた。


涙が止まらなかった。


もしかしたら今日で

もう先生に会えないのかもしれない。


…当たり前か。


会わない方がいい。


そんなのわかってる。

ずっと思ってきたこと。


どうしてこんなに惹かれるんだろう。


早く

先生からの電話に出られるように


スマホを握りしめた。

ねぇどうして。

二人で飼っていた猫の保険の話で


元カノに会った。


嫌い同士で別れたわけじゃない。


思い出達が胸を締め付ける。


本当に好きだった。


髪の毛をくるって指でする仕草

少年みたいに笑う顔

やさしい眼差し


別れてから


あなたとまた手を繋いで歩きたい


そう願った日がないわけじゃない。


同性同士でも


結婚しなくたって


一生一緒にいられる


そう証明したかった。


あなたが選んだ道


わたしが選んだ道


もう一緒にはいられないけど


幸せになってね。


幸せになろうね。